下荷重の引き戸(標準荷重用)の金物を解説していきます
下荷重で建具(ドア)を走らせる戸車、レールには基本的な組み合わせがあります。上吊引き戸が一時期流行りましたが、今はまた下荷重の引き戸に戻りつつあります。トラブルの少なさ、部品が少ないので費用を抑えられる、隙間風がないなどメリットも多いです
M型フラッターレール(Vレール)とV戸車の組み合わせ+Y型フラッターレール(Yレール)とY戸車
木床の場合の標準的な組み合わせはこちらの組み合わせになります。床とレールの段差がなく、フラットに納まります。規格品の引き戸でも一番多く採用されているのはこちらです。代表的なレールと戸車のカタログを紹介していきます
M型フラッターレール(Vレール)及びYレール
M型フラッターレール(Vレール)及びYレールには多くのラインナップがあり、レールの材質はビニール・アルミ・ステンレス・真鍮があります。M型、Y型共にツバ付きかツバなしを選択します。木床へのM型フラッターレール(Vレール)の溝加工は断面サイズで12×12ミリ、9×9ミリ、9×6ミリがあり、断面が大きいほど引き戸の荷重に耐えられます。木床への溝加工の深さなどから選定していきます
浜国(イーグル)B型V12レールを含むカタログページ
安田(アシバネ)AV-12レールを含むカタログページ
KGパルテックUA12を含むカタログページ
上記メーカーのカタログは個別の商品(品番)をリンクできません。アルミフラットレールの代表的なメーカーと品番をあげました
V戸車(Y戸車)
V戸車(Y戸車)はレールより更にメーカーが豊富です。以前は鉄枠の戸車が主流でしたが、現在はステンレス枠の上下調整機能付きが多くなってきました。規格品の引き戸では小口から上下左右を調整できるものが一般的です。戸車径は30Φ~42Φまでが標準引き戸用です。戸車の材質は通常はジュラコン(樹脂)、大きなガラス戸など引き戸が重い場合にステンレス製戸車を使用しますが、その際はVレールもステンレス製にする必要があります。また真鍮製Vレールを使用する場合もジュラコンか真鍮製戸車をオススメします
浜国(イーグル)PH-33ADステンレス製上下調整付き戸車を含むカタログページ(レールのカタログと同じです)
KGパルテックNV33AB-Vステンレス製上下調整付き戸車を含むカタログページ(レールのカタログと同じです)
アトムリビンテックFA-1100-BV小口差し込み型上下左右調整付き戸車を含むカタログページ
ヨコヅナ・・・戸車についての詳細な解説、普及品から特注品までのラインナップはこちらのカタログをご覧ください
戸車は「消耗品」です。擦り減ったり、割れたりしたら交換する必要があります
Y型とは?外れ防止レール、戸車について
YレールとY戸車について説明します。片引き戸、引き違い戸など引き戸すべてで、正面及び裏側からぶつかったときにレールから引き戸が脱線しないように工夫をされているレールと戸車の組み合わせを指します。ブロックレールやT型と表記するメーカーもあります。特に学校やこども園(幼稚園、保育園)ではY型が必須です。天袋など、高さのある位置に取り付ける引き戸では耐震性の観点からもこちらを選びます
V戸車(Y戸車)の注意点について。では、すべてY型でいいのでは?と思いますが、Y型のデメリットもあります。脱線しないように、突起のある戸車と窪みのあるレールが常に擦れているため粉が出たり、戸車の消耗が早くなります。Y型レールに埃が溜まりやすいこともデメリットです
V型とY型を一緒に紹介した通り、ほぼすべてのメーカーで両方ラインナップされている一般的な選択肢になっています
その他のレールについて
今回は下荷重の引き戸をV(Y)レールと戸車で動かす組み合わせを紹介しましたが、下荷重の引き戸には他の金物の組み合わせもあります。以下に代表例を箇条書きにします
- 甲丸レールと丸戸車について
- ユーステンレールとユーステン戸車について
- ベタ付けレール(フラッターレール)について
- 7分(6分)溝用レールについて
- 鴨居(上枠)の溝加工、Lアングルを使用する溝について
- 2連、3連の引き戸について
文責:木製建具金物アドバイザーhk